救助者に対し傷病者の数が特に多い場合に対し、判定基準を出来るだけ客観的かつ簡素にした物がSTART法 (Simple triage and rapid treatment) である。これは、救急救命室で用いられる外傷初期診療ガイドライン日本版において、Primary Surveyで用いられるABCDEアプローチに基づいたものとなっており、具体的には以下のようになる。
A):歩けるか?(ほ)
·
歩ける→緑→状態の悪化がないか絶えず観察
·
歩けない→下へ
B):呼吸をしているか?(こ)
・気道確保をしても、呼吸がない→黒
・気道確保がなければ呼吸できない→赤
・気道確保がなくとも呼吸できる→下へ
:呼吸数はどうか?
·
頻呼吸(30回/分以上)→赤
·
徐呼吸である→下へ
なお、災害医療においては、所要時間短縮のため、6秒間で呼吸数を計る。
この場合、頻呼吸と徐呼吸の境界は3回/6秒となる。
C):循環状態はどうか?(と)
頭骨動脈触知
多くの場合、CRT(Capillary refilling time): 毛細血管再充満時間)が使用される。
·
CRTが2秒以上である→赤
·
CRTが2秒未満である→下へ
D):意識レベルはどうか?(て)
簡単な指示(例:「手を握ってください」「誕生日を言ってください」など)に従えるかどうかによって判定する。
·
応えない→赤
·
応える→黄
小規模の災害なら赤になる例でもSTART法では黒になってしまう事が多くなるが、
これは(現場に混乱を来してしまうほどの)大規模災害のために考え出されたものである。また、この方式は腹膜刺激症状やクラッシュ症候群などの病態を無視しており、追って詳細な状態観察とトリアージが継続されることを前提としている。