介護保険制度における、かかりつけ医の役割
利用者が上手に、また安心して介護保険サービスを利用するために、利用者の身体の状況を把握している主治医がサポートします。
判らないことがあれば、かかりつけ医に相談をして下さい。
第一の役割
:要介護認定申請の際に必要な
主治医の意見書作成
介護保険では基本調査項目と関連する特記事項及びかかりつけ医の主治医意見書によって要介護度が決定されます。
要介護認定に必要な医学的意見を記載します
。
例えばある問題行動がいかに介護者にとって介護上負担になっているかなど、また介護サービスで特に必要な事柄を記載します。
一次判定の変更もこれによってなされます。
第二の役割
:要介護認定において非常に大きな比重を占める
痴呆の早期発見
痴呆は介護をして行く上で介護者に大変な負担をかけます。常日頃の診察、訪問が早期発見につながり早期治療への足がかりとなります。
介護度を決定する介護認定審査会で、この判断が大変難しい。
そのため長期の経過を知る事と、家族の方のご意見も大 変必要です。
第三の役割
:
介護保険サービスのトータルサポート(居宅療養管理指導)。
介護保険サービスを利用するには、ケアマネージャーにケアプランを作成してもらいますがプランを作って介護保険サービ スを上手に利用するためには、本人や家族の希望を聞いてケアマネにこれを伝え、日ごろの医療上の注意点をアドバイス として伝える。
又サービスを受ける時、
このところ腰の痛みが出てきているが、今日のリハビリはいかにしたら良いか?
褥創があるが 入浴サービスは、どの程度行って良いか?などの意見を伝える。
かかりつけ医が、介護保険を通して保健・福祉機関やその 関係者と密接な連携をもち 医療的バックアップを行う。
患者さんの急変時の対応
:高頻度のエピソード(発熱、各種感染症、脱水、転倒、骨折、床ずれ、誤燕)
病診連携
必要に応じて往診し在宅での治療が困難な時は入院治療を依頼する。また総合的検査を依頼する。
家族介護者の健康管理:介護の疲れからのメンタルケア‐
第四の役割
:介護支援専門員(ケアマネージャー)としての業務。
介護保険の中で最も中心的な役割を担う職種である。
医師免許証が通用しない資格ですが、可能な限りこの制度がスムーズに行えるよう努力したい。
しかしケアマネ‐ジャーの訪問調査や数多くのケアプランを作成する事は、日常診療の中で不可能と思われる。
第五の役割
:認定審査会への参加(かかりつけ医全員ではない)し介護度の判定を行う。
第六の役割
:終末期(ターミナル期)での対応
「最後は自宅の畳の上で」と思われている方が増えているようです。
@このためには常に介護してくれる方がそばに居ていただけること。
A往診が定期的かつ随時行える事(在宅総合診療、寝たきり老人訪問診療)。
B生命が燃え尽きる事を、本人も家族も知っていること。
C老衰も含めもはや有効な治療法がない事を知っていただかなければならないこと。
なによりも、死を家族が恐れないことです。
2000年11月4日(介護保険制度の市民集会にて 小田切医院 小田切弘人 )
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